ぴかちゃん日記

ダメ人間によるダメ人間の為の備忘録。

いつか多分きっと 今日のような普通の夜を思い出すだろう

私はダメ人間である。話の続きをしよう。

本を送った彼女はいなくなった。新しい挑戦をするために、北の街へ行った。どこへ行ったのか、街の名前も知らないし聞かなかった。聞いたところで行くわけでもないし、忘れてしまうだけだろう。

彼女にあげた「三月は深き紅の淵を」を読んだ彼女は、同著者の別のタイトルを買うと言ってくれた。それが何となく私の救いだった。

あれから2ヶ月が経って、私は本当にダメになった。

まるで陽の光を失った草木のように、地面に這い蹲る。重力に逆らって立ち上がる方法を忘れた。いままでどうやって、立ち上がり、歩いて、前を向いていたのか分からない。

でも私は何となく気づいている。

これが本当の自分なんだということに。この無気力感は、懐かしい感じがする。幼い頃からこの無気力感はあったように思う。ただ、仕事をしていく中で、気づかない振りをして来ただけ。

なんだろう?私の生きている世界は、例えるなら真っ暗闇なんだ。そして皆が1人1人、自分のまわりを照らせるランプを持っているよう。

だから、1人になると何も遠くが見えない。どこに何があるのか、道標も見えなくなる。だから人との繋がりは大切なんだ。そして大切にしてきたつもりだ。 大切にしないと何も見えなくなる。自分のためだった結局は。

外へ出る扉を開けなくなった。玄関まで行く、居間の引戸すら開けられない。そのまま半月ほど寝込んだ。眠くて眠くて、日中は起きていられない。

差し伸べてくれた誰かの手も、乱暴に振り払った。

会社を休むと連絡を入れる毎朝。

「今日」から逃げられた気がして気分が少し良くなる。

でも夕方になると、明日が来る事が怖くてたまらなくなった。

その繰り返し。私が持ってるはずのランプは、もう光らない気がした。

3歳になった子どもは、そんな事を構わずに私に笑いかけてくれる。

「パパ、幼稚園行ってくるね!」

起き上がらずに見送る度に私は、子どもと嫁に心の中で謝った。1人になった部屋で、許してくださいと1人で呟いた。

でも、立ち上がる気がしなかった。ただ、動きたくなかった。

せめて子どもには悲しい思いはさせたくない。そう思っても、私は見送りながら謝るだけ。

ごめんね、許してください。

私の小さな小さな光。